共用部への私物放置対策

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子どもの自転車やベビーカー、傘に古新聞など…。
共用部である廊下に私物を置くという問題が、都心部のみならず地方のマンションにおいても、いまだに多く発生しています。

前回もご紹介した国土交通省発行、『平成25年度マンション総合調査結果』によると、居住者間でのマナーをめぐるトラブルの第4位に、この「共用部分への私物の放置」が報告されており、なかなか改善が見られないようです。

この問題はどのようにすれば、なくなる方向へと導けるのでしょうか? 皆様と一緒に考えていきたいと思います。

廊下に置いてしまう、よくある原因と解決

私物を共用部(特に廊下)に置いてしまう原因としては、“みんながやっているから私も…”という連鎖的な心理が働くからだと言われています。

たとえば、回収前の古新聞やゴミ袋などを「少しの間だけ玄関前においちゃおう」というルール違反を行なった人がいるとします。そしてこれを目撃した人が「わたしも」…、というように、次々と周囲に伝染してしまい、最終的にはそれがあたりまえの状態に。

やがてそのようにしてできた環境では、苦情が出にくく、その“フロアは玄関前に古新聞やゴミ袋を置いていい”という、皆が錯覚を起こしてしまいやすくなってしまうのです。また、それだけではなく、濡れた傘を開いて乾かしていたり、ベビーカーや子どもの遊具などがおきっぱなしになっている場合も、ほぼ同じ原因だと言えそうです。

マンションによっては、玄関から一定の範囲を設けて、ものを置いても良いとするところもあります。しかし、そこからものがはみ出てしまうと通行の迷惑となりますので、きちんと守るように呼びかけをすることが大切です。

ちなみに、比較的地区年数が浅く未入居が多いところでは、内覧にくる入居希望者もいらっしゃいます。廊下にものが散乱している様子を見たら、果たしてそのマンションに住みたいと思うでしょうか? ゆくゆくはお住まいのマンションの価値を下げることとなり…。
さらに、来客があった場合、その様子を見て、マンションの質が疑われるというのも問題ですから、これらのこともアピールしてみるのも良いかもしれません。

そうならないためにも、違反を早期発見して対処することがポイント!
管理組合や理事会のもと、

・管理者による巡回や定期的に掲示板でお知らせをする
・共用部(廊下、バルコニー、階段など)に私物を置くデメリットの周知
・発見の際の連絡先を掲載しておく

というのもよいのではないでしょうか。

防犯・避難、キーワードで訴求する

古新聞・古雑誌、そして寒い時期になると共用部に置かれ始める灯油缶・ポンプ。

これらは、避難の邪魔になるだけではなく、火災の原因にもなりかねません。さらに、美観を損なうばかりかその様子が外から見えると、火災・放火を誘発する原因にも。
また、バルコニーにそのような私物を置いていたため、それが足場となってしまい、子どもが転落したという悲惨な事件も起きています。

解決へのポイントとしては、前回でもご紹介した『 マンションのバルコニートラブル 』のように、注意や避難について促したり、季節ごとの呼びかけ、たとえば、“冬には「灯油」を、梅雨には「傘」を出さないでください”というように、タイムリーなキーワードで訴求するとより効果的なのではないでしょうか。

注意したいこと

消防法によると、マンションの共用部に私物を置くことは原則として禁止とされています。しかし、いくら邪魔になるからといっても、それらを勝手に撤去すると、後に所有者とのトラブルになりかねません。
アプローチの仕方としては、まずは所有者に対して移動・撤去を求める通告(管理組合として撤去を求める内容を記した内容証明)を送ることや、期限を設けて撤去を促すことなどが良いかと思われます。

掲示物用のイラスト・テンプレートサンプル

掲示物用のサンプル素材をご用意しました。
イラストやPowerPointファイルをダウンロードしてご活用ください。

< イラスト類 >
< 案内のサンプル >

※これらのオリジナルイラスト類は、マンション内告知で利用するポスター・チラシの作成に自由にご利用いただけます。商用利用はご遠慮ください。


以上、「共用部への私物放置対策」について紹介してまいりました。
避難経路となる“共用部”、特に廊下は災害避難時の通行に重要な場所となりますので、日頃から私物を置かないようルールを定め、住人と協力し、且つ防災意識を高めるようなアピールをすることが大切なのではないでしょうか。