新築マンションを購入した際には、諸費用の中に『修繕積立基金』があったはず。これは築後30年程度先を見越し、その間に、いつ・どのような規模で・どのくらい費用をかけて・どこをどのように修繕するのかを計画・想定し、そのために必要な金額を算定して、その一部を最初に確保するために納めたもの。そしてそれにプラスして、月々修繕積立金を納め、大規模修繕を円滑に実施する資金を確保することになっている。
ところが、現実には大規模修繕工事に対して修繕積立金が不足しているというケースが多くみられ、一時金の徴収などで総会が混乱するマンションもある。
では、修繕積立金の適正金額とはいったいいくらなのか。その前に、長期修繕計画が、あくまでも原状回復を基本としていることを理解しよう。原状回復とは経年劣化したところを元の新築時に近い状態に戻し、資産価値を下げないようにするということで、より居住性能を上げるための『グレードアップ※3』は含まれていない。原状回復か、あるいはグレードアップを見越すのか、また当然ながらマンションの規模や構造、設備などによって修繕工事の必要金額が異なってくるため、一概にはいくらと設定できない。しかし、新築入居時の長期修繕計画は、最低レベルの修繕を基本にし、一時金を含めた積立金額が想定されていることが多い。つまり、完璧に近い原状回復やグレードアップを目指すなら、現在の積立金ではどうしても不足する事態が起こるということを知っておこう。そのためには、早めの引き上げも検討されるし、大規模修繕時に一時金の納入が起こることも想定されなければならない。
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