地震・火災から身を守る(3) 自宅の安全度をチェック!
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部屋ごとに異なる危険性。
自宅内を一巡してみましょう。それぞれの部屋には、それぞれの個性があり、部屋の面積・構造に差がありますし、置いてある家具も異なります。
何より、自分自身がどのような状態でその部屋にいるのか、大きな違いがありませんか。地震時に起こる事態は、そうした各部屋の状況に大きく左右されます。
部屋ごとにどのような危険性があるのかチェックするとともに、対処方法を考えてみましょう。
寝室 ― 無防備で過ごす部屋
就寝中に激しい揺れに襲われたらどうなりますか。身を守る行動が遅れがちになります。阪神淡路大震災の発生時刻は、真冬の午前5時46分。多くの人が就寝中で、防御行動がとれずに家具の下敷きになってしまいました。
ですから、倒れやすい家具は厳禁です。どうしても置かなければならない場合は、しっかりと固定しましょう。
さらに、布団に横になって、枕元の周辺を見渡してください。どのような物が視界に入りましたか?
それが、落ちてくることを想像してみましょう。頭や顔に当たっても大丈夫ですか?
普段は大したことがないと思われる物でも、無防備な状態で当たると凶器になります。不安があれば速やかに移動させましょう。
また、この部屋にいる時間帯は夜であるということも忘れないでください。停電して真っ暗闇では次の行動も起こせません。枕元に懐中電灯を置くことも必要です。

キッチン ― 食器が凶器に変わる
キッチンへの出入りは、調理のときだけではありません。子供がおやつを取りに冷蔵庫を開けることも多いでしょう。そのようなときに地震が起きたら……。
キッチンには食器棚や冷蔵庫など大型の家具・家電が詰まっています。すべて転倒防止措置を行ってください。ほとんどの冷蔵庫は搬入用にキャスターが付いています。通常は、搬入が終わった段階で、キャスターをロックしたり、浮かせて固定する金具などで冷蔵庫の底部を固定することになっています。これを怠ると地震時に冷蔵庫が滑り出してしまいます。転倒防止と合わせて、底部の固定を確認しましょう。

どんなに処置をしていても、完全に食器類の落下を防止することはできないかもしれません。そうなったとき、床には割れたガラスや陶磁器の破片が散乱してしまうはずです。その上を裸足で乗り越えるのはあまりにも危険です。もし、足を負傷してしまうと、その後の行動が著しく制限されてしまいます。
普段からスリッパを履く習慣をつけておきましょう。
子供部屋 ― 子供の目線で
大人では問題がないような家具でも、子供にとっては凶器になりかねません。子供の目線で安全を考えましょう。
たいていの居室は、ドアが室内側に開く方式です。ドアの下に小さな玩具が挟まっただけでも、子供の力では、ドアを開けることができないかもしれません。
出入口付近には、本棚や玩具入れを配置しない方が良いでしょう。

リビング ― 窓際に注意
リビングに面して大きな窓が配置されるようなレイアウトが一般的です。日常は、開放感をもたらしてくれる窓も、凶器となる可能性があります。
窓ガラスの近くに移動しやすい家具があると、揺れによってガラスと衝突して破損させてしまいます。ガラスの破片は床に散乱するだけでなく、高層階から地上へと落下して凶器になりますので、不要な家具を置かないようにしたり、飛散防止フィルムを貼ったりすることが重要です。
トイレ ― 閉じ込めを警戒
「地震の時はトイレに逃げ込んだ方が良い」という声を時々耳にしますが、マンションには、当てはまりません。効果がないばかりか、ドア枠が少しでも歪んでしまうと、閉じ込められてしまう恐れがあるからです。ほとんどのマンションでは、トイレに窓がありません。助けを求めても外部に聞こえない可能性があります。
トイレ内にいるとき地震が発生したら、素早くドアを開く習慣をつけておくとよいでしょう。
また、背面の壁には、収納棚が設けられているレイアウトが一般的ですが、置くものに注意しましょう。揺れによって落下し、身体に当たってしまう可能性があります。トイレットペーパーのような軽い物に限定すべきでしょう。
浴室・洗面所 ― 習慣づけで危機を乗り越える
入浴中に地震が発生したら、素早く衣類を身に着ける必要があります。そのためには、身体を拭くタオルや衣類を脱衣所に用意しておく習慣が欠かせません。当たり前のようなことをきちんと習慣づけておくことが、いざというときの冷静な行動につながります。
また、浴室内や洗面所には、大きな鏡があるはずです。鏡がしっかりと固定されていないと落下破損の危険があります。さらに、鏡の前に置いてある物にも注意が必要。化粧品のビンなど固いものではありませんか?
もし、これらが揺れで動いたら鏡に当たって破損させてしまうかもしれません。ガラス類の破損は、大きなケガに直結します。置き場所などを検討してください。
玄関 ― 大切な道
物置代わりになってしまった玄関をよく見かけます。確かに玄関に置いておけば、便利なことは疑いありません。ベビーカー、買い物カート、ゴルフバッグ……。いずれも大型で立て掛けておくようなものばかりです。
そういったものは、地震時に容易に転倒してしまいます。これらが散乱してしまった玄関を想像してみましょう。容易に通行できるでしょうか?
避難だけでなく、負傷者搬出など緊急時に必ず通る大切な道です。普段の整理整頓が欠かせませんね。

執筆
永山 政広(ながやま まさひろ)
NPO法人ライフ・コンセプト100 アドバイザー
消防官として30年間にわたり災害現場での活動、火災原因調査などに携わり、2013年からNPO法人ライフ・コンセプト100のアドバイザーとして、セミナーや防災マニュアルづくりなど、マンション防災の第一線で活躍。