はじめてみよう!マンション広報誌(その3)
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「はじめてみよう!マンション広報誌 」も、いよいよ最終回。
これまで本平さんには、広報誌について、制作の“きっかけ”や“工夫”について伺いました。
そこで今回は、広報誌を制作する上で重要な、“写真や絵などの素材の集め方”についてお聞きしたいと思います。さらに、住人からのこれまでの“反響”や、“これから発刊する方へ”のアドバイスなど、作ったからこそわかる話もインタビュー!制作の“ヒント”にしていただけたらと思います。
前回
はじめてみよう!マンション広報誌(その2)
独自性を持たせるにはどうしていますか?
執筆はどのような体制で行なっていますか?
読まれる工夫について
写真や絵など、素材を集めるにあたって
編集部:
写真は制作者の3人でしか撮影できないから大変ではないですか?
本平さん:
フロントにデジタルカメラを預けて、委員会や理事会の人がすぐに撮影できるようにしています。2台あるのですが、購入したものではなく、マンションの住民から使用していないカメラを募集したところ、かなり良い機種を2台いただくことができました。
やはり写真が“肝”ですし、文章はあとでも作成できますが写真は当日その場にいないと撮影出来ないので重要です。
編集部:
誌面は、プロ用のパソコンツールIllustrator(イラストレーター)で加工をしているのですか?
本平さん:
はい。今は自分しか構成しないので…。でも、今後編集する人が変わると、PowerPoint(パワーポイント)で作業できるようにするかもしれません。
私がボランティアで作成した地元NPOの掲示物で既にPowerPointで構成(枠)している掲示物もあります。例えば“体操をしよう”だとか“お茶を飲みましょう”とか、そういったシニアの方が交流する会の場合、毎回やることが違うわけです。なので、あらかじめ構成を作っておいて、文字の部分(変更したい部分)だけをカンタンに編集できるように構成しています。ちなみに、この編集作業を行なっている方はシニアの方なんです。
編集部:
本平さん、本業がデザイナーですもんね。ちなみに1枚作るのにどのくらいかかりますか?
本平さん:
実は2~3時間もあれば作れてしまいます。もちろん元ネタとなる文章・写真があればの話しですが。
文字を配置してレイアウトして、文字サイズを調整するだけなので。最初は何時間もかかっていましたが、数を重ねる内に相当制作に慣れましね。でも、ワンパターンにならないように、部分的に“掲示物っぽく作ったり”読者を飽きさせないよう、目を惹くようにに工夫しています。
編集部:
毎回同じような構成だと「変わったように見られない」と言われるんですね。
掲載して反響が良かったものは?
編集部:
反響が良かったものってどんなものがありましたか?
本平さん:
内容にもよると思いますが、ベランダ用の高圧洗浄クリーナーの貸し出しを始めたんですね。
管理組合で購入して、1回500円で利用できるのですが、この反響が良かったですね。この取り組みは良かったと思います。高圧洗浄クリーナーって年に1回くらいしか使わないので、家で買うと邪魔になるけれど、みんなで買うと安く済むし、場所も取らないですから。
あとは、14号で修繕積立金正常化の特集を4週連続で組んで、「修繕積立金と管理費とは何ぞや?」「コストダウンを年間で○万ほど削減した」などの説明や、グラフにすることで足りない箇所をわかりやすくして、「この大規模修繕は乗り越えられない!」ってことを見せて、「今後きちんと計画を立てようね」っていうことを促したり。
編集部:
難しそうな内容なのに、どうして反響が良かったのでしょうか?
本平さん:
修繕積立金正常化の決議がこの間の総会であったんですけど、この特集号がそのまま説明資料になったせいか、反対意見も質問もあまりなかったです。普通こういう議題を扱うと質問がたくさんあるものなんですが、何でコストダウンできたのかっていうことが“一元化されて”見えているわけですから。
それと、「委員会にみんなも参加してね」っていうのも反響が良かったです。
編集部:
特集14号の制作には、だいぶ時間がかかっていそうですが?
本平さん:
資料集めが大変でしたね。あとは、私が加入している他のマンションの理事長仲間との勉強会「RJC48」(http://rjc48.com/)の仲間にアイデアをもらったり……。
これから発刊する人へのアドバイスは?
編集部:
これから“マンション広報誌”を発刊する人へ何かアドバイスをお願いします。
本平さん:
実は去年の理事の方の1人は元新聞部で、制作が大好きだということが最近わかったんですよ。今その方を引き込もうかなと思っているんですけど。
理事や委員会をやっていると知り合いになる人が多くなるので「この人良いな」って思った人は直接口説いちゃったほうがいいですね。
“待つんじゃなくて、こっちから引き込むと”
あとがき
住民内で行われるイベントに参加できなかった方に、結果を広く知らせることをきっかけに始まった“マンション広報誌”。お話を伺った『パークシティ武蔵小杉SFT通信』は、制作のプロによる事例でした。
今回ご紹介した内容は、誰にでも出来るテクニックではなかったかもしれません。しかし、本平さん(編集長)の自ら楽しんで発行作業を行っているという、良い事例を紹介できたと思います。
“マンション広報誌”を、管理組合と住人の“橋渡し”“絆づくり”のツールにし、
・「修繕積立金値上げ」のような管理組合の抱える悩みを住民に理解してもらう。
また、
・管理組合の存在を身近に感じてもらい、イベントなどに積極的に参加してもらうきっかけを作る。
このような試みは、実はどのマンションでも行なうことができる方法なのです。
ぜひ、皆さんのお住まいのマンションでも実践してみてはいかがでしょうか?
編集部では、お話を伺った『パークシティ武蔵小杉SFT通信』のような、新聞が手軽に作れるパワーポイントのテンプレートを用意しました。是非ご活用ください。
※これらのオリジナルイラスト類は、マンション内告知で利用するポスター・チラシの作成に自由にご利用いただけます。商用利用はご遠慮ください。
取材協力
本平 基(ほんだいら もとい)
『パークシティ武蔵小杉SFT通信』編集長(広報委員会委員長)。パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー管理組合第4~5期理事長。本職は、デザイナー・フォトグラファー。地元のお祭り「コスギフェスタ」をはじめ、NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメントの活動にも協力。
次回は、掲示物入門と題して、ポイントを押さえた“注意書き”の書き方を紹介します。