マンションのバルコニートラブル

2014年10月16日配信

国土交通省発行、『平成25年度マンション総合調査結果』によると、居住者間でのマナーをめぐるトラブルの第5位に、バルコニーの使用について報告されています。各住居スペースから直結するこの場所は、“共用部”なのですが、「専有使用権」が与えられているため、タバコやガーデニング、そして洗濯物を干したりと、それぞれが思い思いに利用しがち。そしてそれがトラブルの原因に……。

今回の「マンション広報宣伝室」では、そんなバルコニーで居住者間トラブルを減らす・抑えるために、よくある実例と、その対策をご紹介したいと思います。

バルコニーのトラブルとその対策

■タバコ

一時期、夜間にバルコニーでタバコを吸う人を“ホタル族”と呼び、煙やニオイの受動喫煙トラブルの代名詞として、メディアなどで取り上げられたことは記憶に新しいと思います。しかし、タバコは夜間だけではなく昼間でも、たとえば、風に乗ってほかの部屋の洗濯物についたり、掃除・換気中の部屋に入ったりという問題も挙げられます。さらに、携帯電話がつながりやすくなるからと、タバコを吸いながらバルコニーで話し、その声までもが迷惑になるという事例も。

また、規約でバルコニー禁煙となっており、そこで吸っていないのにも係わらず、問題が起こることも。よくよく調べると、室内の台所やトイレにある換気扇の下で喫煙しており、その換気ダクトがベランダに設置されていて、ベランダ喫煙と同じことが起きていたということがあります。これは専有部の禁煙まで規約化することになり解決がなかなか難しい問題です。

対策としては、たとえば、（イラストのように）健康増進法をアピールするのはいかがでしょうか。『「副流煙」には、喫煙者より多くの有害物質が含まれています。』などの健康被害アピールも効果的ですし、実は、マンションの管理者には、「多数のものが利用する施設」での分煙措置の義務が課せられているため、管理規約でも禁止しているという旨を、アピールすることも効果があると思います。

＜掲示物用イラスト類＞

タバコを消す

タバコと心遣い

タバコ禁止

赤ちゃんに悪い

※これらのオリジナルイラスト類は、マンション内告知で利用するポスター・チラシの作成に自由にご利用いただけます。商用利用はご遠慮ください。

■置きっぱなしのもの

たとえば、夏場の暑い日に、めんどうだからと言ってバルコニーに生ゴミを出しっぱなしにしていると、悪臭を放ち、ハエ・ゴキブリなどの害虫を寄せつけ、それがトラブルに…。というのもよくある話。さらに、ガーデニングをしている方は、風や水やりなどで、土や葉・花びらで排水口を詰まらせ、それが悪臭や増水・浸水になるということもあります。

対策としては、『ベランダにゴミを置かないように』などの文言を記したものや、定期的に排水口の掃除をしないと、『台風やゲリラ豪雨の際、増水、室内冠水、階下の雨漏りの原因になること』や、『鉢植えが強風で飛ばされて階下に落ちてしまうと一大事』という災害対策と併用したアピールをしてみては。
また、バルコニーは、緊急時の避難通路として指定されている場合がほとんど。災害で一刻も早く避難しなければならないときに、ゴミや鉢植えがたくさんあると、『避難の妨げになります』ということアプローチで伝えてみてはいかがでしょうか。

＜掲示物用イラスト類＞

バルコニーとゴミ

非難経路

ゴミ

カラス

■ペットの飼育や鳥の餌付け

バルコニーに、犬を長時間出したり、ブラッシングをしたりすると、鳴き声や抜け毛で近所迷惑になるというのもよくある話。さらに野鳥を餌付けする方もいるようですが、棲みついて巣を作ったり、鳥の鳴き声やベランダが糞で汚れたりという問題も。

注意喚起には、『住人の中には、アレルギーを持つ方もいる』ことを伝えたり、『鳥の糞には病原体が含まれており、不衛生である』などを付け加えることも良いでしょう。

＜掲示物用イラスト類＞

アレルギーと動物

犬

猫

ウィルス

■布団や洗濯物を干す

管理規約や細則で、“外観を損なう”という理由から、バルコニーの手すりに布団を干すことを禁じているマンションもあります。
しかし、外観の理由で訴えるよりも、“落下したときの危険性”や“ベランダ専用の物干しの利用”を促す文言を強調したほうが、注意喚起には効果的でしょう。
また、洗濯物についても、特にタワーマンションでは、上層階に行くにつれて強風が吹きます。そのため、”大切な衣類が吹き飛ばされる可能性があります”とのアピールはいかがでしょうか。