マンション区分所有者の預貯金口座からは、住宅ローンのほかに、毎月『カンリヒ』あるいは『カンリヒトウ』という項目で一定額が引き落とされている。これはマンションの区分所有者が必ず納めなければいけない『管理費等※1』といわれているもの。では、この管理費等ってなんなの?
まず、管理費等として引き落とされているものの内訳を知ろう。管理費等の中には、いわゆるマンションの共有部分に関する日常的な管理費用と、大がかりな修繕に備える積立金、駐車場などマンション内の施設を借りている場合の施設使用料が含まれていて、これらすべてが『管理費等』として預金口座から一括して引き落とされることが多い。その中の「管理費」は、家計簿で言う
なら日々必要な生活費のようなもの。それに対して、「修繕積立金」というのは、将来必要になる大規模修繕工事を見越して貯蓄しているもの。管理費等として毎月まとめて引き落とされているため、同じものとして捉えられがちだが、目的はまったく異なったものであることを認識しよう。
では、修繕積立金には後に触れるとして、日々必要なマンションの生活費ともいえる『管理費※2』とは何か。
マンションの専有部分、つまり住戸は、それぞれの居住者が小まめに掃除したり、リフォームしたり、個々で自由に、必要に応じて維持管理を行えばいい。しかし、廊下や階段の清掃や、エレベーターや消防施設の点検、植栽の手入れや維持管理は、資産価値にも影響する大切なもので、区分所有者全員で責任を持って日常的に管理しなければいけないもの。ただし、実際には、生活スタイルの異なる区分所有者が個々に管理することは難しい。そこで、区分所有者が全員で管理組合をつくり、管理費を集めて、組合として維持管理の仕事をする仕組みが設けられている。とはいえ、管理組合が機械設備の保守点検などを直接行うことはできないため、仕事の大半を管理会社に業務委託するのがふつう。
つまり管理費というのは、区分所有者が自分たちの組織である管理組合に納める「共同生活費」のようなもので、管理組合は共同生活費の中から、具体的な業務に応じて管理会社などにお金を払うわけである。従って、管理費の使い道の中には管理会社への業務委託費だけでなく、共用部分の水道光熱費、損害保険料、コミュニティー活動のための費用、理事会の運営費など、マンションの共用部分に日々かかるあらゆる費用が含まれている。各マンションの管理費の使い道は、毎年1回開かれる管理組合の通常総会で審議される決算報告書と新年度の予算案を見れば分かるはずなので、チェックしてみてはどう? |